こんにちは。
尼崎の畳屋のミツローです。
熊本で大きな地震が発生してから数日が経ちました。
テレビやニュースでは被害の状況が次々と伝えられていますが、その中でもイオンモールで起きた爆発のニュースには本当に驚かされました。
イオンモールは普段の買い物だけでなく、災害時には避難や支援の拠点としても活用される大切な施設です。
そのような場所が被害を受けたことで、今後の復旧や支援活動にも影響が出ないか心配になります。
報道ではプロパンガスが漏れたことが原因の一つとされていました。
地震が起きると、建物の倒壊だけではなく、このような「想定外」の出来事が次々と起こります。
自然の力は、人の予想をはるかに超えてしまうものなのだと改めて感じました。
熊本と聞いて、私が真っ先に思い浮かべるのは「いぐさ」です。
畳の材料である畳表(たたみおもて)の原料となるいぐさ。
現在、国産いぐさのほとんどは熊本県で生産されており、その中心となっているのが八代(やつしろ)地域です。
畳屋にとって熊本は、日本の畳文化を支える大切な産地なのです。
ニュースで八代の名前が流れるたびに気になり、取引のある問屋さんへ電話をしてみました。
問屋さんは福岡にありますが、現地へ足を運んできたそうです。
話を聞くと、生産者さんの住宅や倉庫が倒壊しているところが15〜20件ほどあるとのことでした。
倉庫が倒壊すると、保管していた畳表が散乱してしまいます。
さらに、いぐさを織るための大切な織機まで壊れてしまう可能性があります。
長い時間と手間をかけて育て、織り上げたいぐさが、一瞬で失われてしまうかもしれないのです。
しかし、それ以上に心配なのは来年のいぐさ作りです。
いぐさ栽培は一年を通して準備が必要です。
秋には苗づくりが始まり、そのためには十分な水が欠かせません。
ところが、地震による断水などで水が使えなければ、苗を育てることができません。
もし苗づくりが遅れてしまえば、来年収穫するいぐさにも影響が出てしまいます。
「今年だけ」の問題では終わらないのです。
問屋さんのお話では、できるだけ早く水道などのライフラインが復旧すれば、まだ間に合う可能性もあるそうです。
だからこそ、一日でも早い復旧を願うばかりです。
しかも今は一年で最も暑い時期。
連日の猛暑日が続いています。
復旧作業をされている方々も、生産者さんも、体への負担は計り知れません。
いぐさももちろん心配ですが、それ以上に生産者さんご自身が元気でいてくださることが何より大切だと思います。
私たち畳屋は、生産者さんが丹精込めて育てたいぐさを、お客様へ届ける役目です。
だからこそ、熊本の皆さんには無理をしすぎず、安全第一で過ごしていただきたいと心から願っています。
そして、私たちにできる応援があります。
それが「熊本産いぐさの畳を選ぶこと」です。
畳替えをすると、その先には熊本の生産者さんがいます。
国産いぐさを選んでいただくことは、日本の農業を守り、畳文化を守ることにもつながります。
家の畳を見渡してみてください。
畳が茶色く変色していませんか?
座るとチクチクしたり、服にいぐさの切れ端が付いたりしていませんか?
「お盆に家族が集まる。」
「お孫さんが遊びに来る。」
そんな予定のあるご家庭も多いのではないでしょうか。
「次に来るまでに畳をきれいにしておいてね。」
そんな一言を、お孫さんから言われたというお客様もいらっしゃいました。
新しい畳の香りが広がる和室は、家族が自然と集まり、ゆっくりくつろげる空間になります。
お盆までの畳替えも、まだ間に合います。
そして、その一枚一枚が熊本への応援にもなります。
畳を替えることは、部屋をきれいにするだけではありません。
日本の伝統を支え、熊本のいぐさ農家さんを応援することにもつながっています。
私も畳屋として、熊本産いぐさの魅力をこれからも伝え続けていきたいと思います。
一日も早く熊本の皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻せること、そして、いぐさ農家さんがまた笑顔で畑に立てる日が来ることを心から願っています。